- 格安スマホ(SIM)
- 保険の見直し
- PayPayのボーナス運用や楽天ポイントなどのポイント投資
家計の見直し、投資の入口やきっかけの手段として、これらの内容がとりあげられることが増えました。
ビジネス雑誌のマネー特集でファイナンシャルプランナー(FP)による家計改善事例が挙げられることも多いですが、必ずといっていいほど格安スマホ(SIM)への変更は推奨されています。
最近だと楽天モバイルが、利用料金の1年間無料キャンペーンを打ち出して大きな話題になりました(2021年4月7日で終了)
端末がない場合も、ポイント還元キャンペーンを行っていて、最初の「手出し」は必要なものの、実質5000円や10000円で買える機種もあり、なかには事実上タダで手に入るものまでありました。
格安スマホ(SIM)以外にも、例えばキャッシュレス決済サービス各社は数年前から熾烈な競争を繰り広げています。
ソフトバンク系列で有名なPayPay(ペイペイ)も超○○祭りみたいな名前で時々大規模なポイント還元キャンペーンを行っていて、シェア総取りに必死の状況です。
多くのキャッシュレス決済サービスが登場しましたが、いずれは交通系(JRや私鉄各社)、通信系(ドコモ、KDDI、ソフトバンクの各系列)に集約されるのかなと思っています。
数が多すぎて混乱することも多く、もちろんデメリットもあるので一概には言えないものの、使いこなすと多くの場合で得になることも多く、きちんと管理すればメリットが大きい一方で、分かっていても変えられないパターンも多いです。
これはなぜなのか。
現状維持と損失回避の心理
- 現状維持バイアス
- 損失回避の心理
主にこれらが働くからです。
実際に格安スマホ(SIM)のMVNO系を利用している人の割合は20%前後といったデータもあるようです(総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」)
行動経済学も話題になりましたが、そのなかのプロスペクト理論によると、人間はそもそも損失を回避したい生き物といわれています。
損をしたい人はいないはずですが、絶対に損したくない気持ちが強いことが多く、リスクをとりたくないと過度の防御態勢をとるケースが多いです。
以前の記事でも説明した通り、リターンを得るにはリスクをとる必要があります。
ただ、リターンを犠牲にしても損をしたくない心理が強く働くので、どうなるか分からないことに手を出さずに、できる限り現状を維持しようと行動します。
勇気を出して現状を変えたとしても、今よりも絶対に良くなる保障はもちろんありません。良くなるかもしれないし悪くなるかもしれない。
「もし現状を変えて、いまよりも状況が悪化してしまったらどうしよう」と不安になって、現状を変えることに抵抗感を感じるわけです(現状維持バイアス)
雑誌や書籍で紹介されている
事例を見ると確かに
毎月や毎年のコストは下がる
のかもしれない
↓
でも
↓
- 手続きが面倒くさい
- 電話は今まで通りできるのか
- 通信速度遅くならないのか
- せっかくA社で10年続けたのに
- キャリアメールがなくなったら
- 万一分からないことが出てきたらどうするのか
↓
このような不安が出てくる
↓
多少高くても
今の状況で問題なく
使えているから
また後でいいか
PayPay、d払い
楽天ペイなど
いろんなサービスが出ている
雑誌や書籍
インスタグラムなどでも
インフルエンサーが
使い方を紹介している
確かに使うとポイントも
もらえるし現金払いより
お得になるのだろう
↓
でも
↓
- 手続きが面倒くさい
- 設定ミスで入金したものが消えたらどうしよう
- ポイント目当てで使いすぎるおそれ
- サービスが多すぎて混乱する
- 個人情報は大丈夫なのか
↓
このような不安が出てくる
↓
そもそも
現金で問題なく
支払いできるから
わざわざ使う
必要ないのでは?
通販とかも
クレジットカード使えるし
↓
多少ポイントを
損したとしても
今の状況で
不便はないから
別にいいか
お金の勉強や対策を
しないといけない
なんとなくの不安はある
- コロナ禍で収入減
- 給料やボーナスカット
- 本業だけではやっていけない
- 時間がないお金がない
- 将来や老後の不安
↓
お金の勉強会、セミナー
書籍やYouTubeで勉強
↓
でも
↓
- 絶対に損したくない
- お金や投資は怖いイメージが強い
- セミナーは怪しい
- 収入も貯金も少ないのにお金の勉強、資産形成ははやいよね
↓
このような不安が出てくる
↓
日々の生活や将来に
不満や不安はあるけど
↓
- 今すぐ露頭に迷うわけではない
- 給料でなんとか生活できている
- 毎日働いて給料もらって特に不満はない
- 投資(資産運用)して損してお金が減ったら嫌
↓
しばらく今のままでいいか
- 自分がよく分からないもの
- 今まで経験したことがないもの
- 今までの常識を180度ひっくり返されるもの
- みんな(周り)がやっていないもの
- みんな(周り)が批判している、勧めていないもの
このようなものほど不安が大きくなりがちです。
極端な話、たとえ現状がどんなに悪い状況だったとしても、それよりも悪化したら嫌だ!といった気持ちが働くので、現状を変えることに強く抵抗します。
保険の見直しでよくあるケース
家計の見直しで、この保険は不要なので解約しましょうといった判断をされることも少なくありません。
ただし、FPなどから指摘を受けて、それが客観的にみても正しい可能性が高い場合でも、素直に解約する(見直す)人は少数派です。
例えばがん保険の場合、解約したほうがいいと分かっていても、解約した途端にがんになってしまうのではないかといった恐怖や不安が出てくるそうです。
それだったら解約せずに残しておこうといった心理が働く。これも現状維持バイアスのひとつです。
それだけでなく
サンクコスト効果(サンクコストバイアス)ともいいますが、せっかく今までお金を払って続けてきたのに、それを解約するのは損ではないんか、無に帰するのは嫌だといった心理が働きます。
株やFXで損する人の特徴
個別株やFXを自分で取引している場合、現状維持バイアスが働いて損失を大きくしてしまうパターンも多いです。
例えば自分が投資したA社の株価が下落しているとします。
本来なら明確に投資ルールを決めて機械的に損切りや利確(利益確定)の基準を持っておきたいところですが、それがない場合は、損失が膨らむことがあります。
株価がじわじわ下落している場合
- いま売却したら損が確定してしまう
- 損したくないから様子を見よう
- これ以上下がるのは嫌だけど、自分が売った後に上昇したら損だ
このような感じになって、客観的に損失がどんどん大きくなるパターンです。
明確なルール、判断基準を持つ
実際は変えたほうがいい、変えたほうがいいかもしれないと分かっていても、なかなか重たい腰を上げられない。現状維持バイアスが強く働いて行動が遅れてしまうことはよくあります。
自分自身も今まで振り返ってみても無数にあります(苦笑)
それを回避するには、明確なルールや判断基準を持つことが大事かなと思っています。
人は感情の生き物なので、論理的にこれが正しいと頭で分かっていたとしても、そのとおりに常に行動できるわけではありません。
自分はお金に興味がない、投資や資産運用、資産形成は興味ないし関係ないと言っていても、様々な営業や勧誘、誘惑は来るはずです。
- 勤務先に保険の営業マンが来る
- 病院の場合、MRの営業が来る
- マンション投資など怪しい投資の勧誘電話が来る
- 「リボ払いにしたら5000ポイント還元する」みたいな営業メールがカード会社から頻繁に来る
- 賃貸の場合、マイホームを建てませんか?といった不動産会社の営業やチラシ案内が来る
挙げたらキリがありません(笑)
どんなに拒んでいたとしても、あらゆる方法で、様々なとこから話はやってきます。
このような時に明確なルールや判断基準がなければ、相手が煽る内容に釣られて、根拠のない恐怖感や不安感に支配されてしまいます。
正解はないし人はすぐに変わらない
「明確なルールや判断基準を持って淡々と機械的に行動する」
そんなことできたら誰も苦労しないよ。
はい、おっしゃるとおりです。
「明確なルールや判断基準を持って淡々と機械的に行動しましょう」と言われて、すぐにそれを実行できる人はほぼいません。
なぜなら人はすぐに変わらない(変われない)からです。
30歳の人なら、今まで30年間積み重ねてきた考え方や習慣があるし、60歳の人なら60年間積み重ねてきたものがあります。
もしそれを否定されるような内容だった場合、30年や60年間当たり前と思っていたことを、即否定して新しい考え方に応じた行動ができるかと言われたら非常に厳しいと思います。
ただ、すぐに変われないにしても、少しずつ「シフト」していくことは可能だと思います。そのためにも、1回ではなく2回3回・・何回も「接触」を重ねて塗り直していく必要があります。
自分自身、お金のセミナーに何度も参加するのはそのためです。人は忘れる生き物だから。
未来のことは誰にも分かりません。
漠然とした不安や恐怖は誰しも持っていますが、現状維持バイアスに支配されて、気づいたら泥船と一緒に沈没していたら元も子もありません。
分からないからこそ
現状がベストとは限らないといった意識を持っておくことは大切かなと思います。