資産運用の話になると必ず出てくるのがiDeCo、NISA、つみたてNISAの話題。もちろんメリットもありますが、デメリットがあるのも事実です。iDeCoやNISAのメリットデメリットについて整理をしたうえで現時点で私の結論や考えもお話します。
- iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの特徴
- それぞれのメリットデメリット
- 現時点で自分なりの結論
- 投資手法を選ぶ時に大切な考え方
- iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの概要(投資可能な年齢、金額、対象、期間など)、仕組み、特徴は法改正等で変わることがあります。そのため、最新の概要や仕組み、情報は金融庁のHPなどで必ず確認をお願いします。
- 今回の記事はそれぞれのメリットやデメリットを確認し、そのうえで、自分自身にとって最適な投資手法を選ぶにはどうすればいいのか、考え方のヒントになればと思って執筆しています。iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの斡旋等ではありません。もちろん、これらの仕組みを否定するわけでもありません。
iDeCo、一般NISA、つみたてNISAの特徴、メリット
iDeCo
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、「自分年金」とも呼ばれて、個人が自分でお金を出して商品を選んで運用していくものです。
60歳以降に受け取ることができ、原則60歳未満であれば誰でも加入できるようになりました。
- 積み立てた掛け金の全額が所得控除の対象で所得税や住民税から控除される
- 運用期間中の運用益が全て非課税(通常は約20%の税金が発生)
一般NISA
一般NISA、つみたてNISAの併用はできません。
- 毎年120万円の投資枠まで売却益や分配金が非課税
- 非課税投資枠の運用期間は最長5年間(ロールオーバーで最長10年間)
- 非課税投資枠は総額600万円まで
- 投資対象は国内外の株式、ETF、REIT、国内投資信託などでスポット購入も可
- 途中で売却、引き出し可能
つみたてNISA
一般NISAよりも商品を絞って、金融庁が個人投資家保護を目的に作った制度。長期運用に適した商品を厳選しているので、投資家にとっては選びやすいメリットもあります。
- 年間投資限度額40万円まで売却益や分配金が非課税
- 非課税投資枠の運用期間は最長20年間(ロールオーバーなし)
- 非課税投資枠は総額800万円まで
- 投資対象は金融庁指定の投資信託、ETFのみで選びやすい
iDeCo、一般NISA、つみたてNISAのデメリット
iDeCoのデメリット
- 原則60歳になるまで引き出すことができない
- 加入できない人もいる(20歳未満、60歳以上の人、勤務先の企業型確定拠出年金に加入していてiDeCoとの同時加入を認めていない人、国民年金の保険料を現在免除してもらっている人)
- 一度始めると原則辞めることができない
- 働き方で拠出の限度額が異なる
- iDeCo専用口座を開設する必要がある
- 加入手続きが複雑で分かりにくい
一般NISAのデメリット
- 非課税口座の開設は1人1口座のみ
- 5年間(ロールオーバーで10年間)といった制限があり、長期保有に向いていない
- 非課税枠の未使用分は翌年に持ち越せない
- 特定口座や一般口座との損益通算できない
非課税枠をフルで活用しようと思ったら、最長10年以内に売却する必要があります。
10年経過すると自動的に一般の課税口座に移動するので、その後の売却時に発生した利益に対して課税されます。
投資には絶対はありませんし、相場の状況によっては調子が良い時もあれば悪い時(我慢する時)もあります。
調子が良い時に売却できたらいいですが、悪い時に非課税期間が終わったら・・・
もちろん、税金とか関係なく持ち続けて、売りたい時に売ればいいわけですが、人間は常に冷静に判断できるわけではないです(苦笑)
非課税期間が終わると自動的に一般の課税口座に移動します。
例えばA社の株式を100万円で買ったとします。
- NISA開始時:100万円
- 非課税期間終了時:時価総額70万円(含み損状態)
- 売却時:80万円
だとします。
この場合、売却時は80万円で、NISAで買ったときより損してるから税金かからないでしょ?と思いがちですが、ここに「落とし穴」があります。
非課税期間終了時は70万円になっているので、ここを起点に計算されます。すると売却時は10万円の利益が出ている計算になるので課税されます。
つみたてNISAのデメリット
- 一般NISAに比べると対象商品が少ない(個別株やREITなどは対象外)
- 途中で売却、引き出し可能だが、売却分に関して同一口座内では再投資できない
- 特定口座や一般口座との損益通算できない
- リバランスができない
- 一般NISAよりは長いが、非課税期間は最長20年間まで
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さらに詳しい概要や情報は金融庁や銀行のホームページやパンフレットを確認していただくとして、ざっくりこんな感じだと思います。
細かい手数料の問題もありますが、どの手法を選んでも必ず発生するもので、金額もそれぞれ違ってくるので今回は触れていません。
現時点で自分なりの結論
おもな概要、それぞれのメリットデメリットを確認したうえで、現時点で私自身はどうしているかというと、結論から言えば、どれもやっていません。
誤解のないようにいえば、iDeCoやNISAを否定するつもりは全くありません。
金融庁が推進している長期、つみたて、分散といった運用方法は私も賛同していますし、老後の不安解消のためにも、時間と複利を最大限使いながら、資産を構築していく考えは欠かせません。
そのうえでiDeCoやNISAの活用も検討しましたが、自分にはメリットよりもデメリットが大きいと考えて、現時点ではやらない判断に至りました。
いったい、どういうことなのか解説します。
iDeCo、一般NISA、つみたてNISAが抱える大きなデメリット
iDeCoの場合
1.60歳まで引き出せない(期限の利益の喪失)
もし30歳で始めたら30年間引き出すことができません。
途中で例えば大きなお金が必要になり、取り崩しをしたいと思っても原則できません。
これは大きなデメリットだと思います。
いまは自分や家族の生活に大きな問題がなかったとしても、今後社会がどう変化するか、自分たちの生活にどう影響するか、状況がどうなるか誰にも分かりません。
iDeCoは円建てのため、もし毎年2%のインフレが続くと30年後には、見た目の金額は増えていたとしても、価値は現在の約半分になってしまいます。
税金面も今は節税できても、30年後など受け取る時にどうなるか誰にも分かりません。
退職金のように控除が適用されて優遇されるにしても、それはあくまで現在の税制度の範囲の話であって、自分たちが受け取るときは別だからです。
実際、退職控除の見直しも検討されているみたいですし、税優遇の部分はあまり期待しない、優遇されたらラッキーくらいに考えておいたほうがいいかなと思っています。
このように今後社会がどう変化するか分からないなかで「数十年単位でロックされる」のは厳しいと考えました。
2.一度始めたら辞められない
これも大きなデメリットだと思います。一度始めたら辞められず、例えば30歳で始めると30年間続ける必要があります。
例えば開始時は独身だとしても結婚する、子どもが生まれて劇的に変わるかもしれません。結婚の有無にかかわらず、転職する、退職する、独立するなどライフステージは変化する可能性もあります。
iDeCoのつみたてを続けるのが一時的に難しい、休止したいとなってもできません。
NISA、つみたてNISAのデメリット
一般NISAは最長5年間(ロールオーバーで10年間)といった制限があり、長期保有に向いていません。5年後、10年後にどうするか決める必要があります。
つみたてNISAは商品を金融庁が厳しく選んでいる部分は大きいですが、一方で対象商品が少ないデメリットもあります。
損をしたくないからできるかぎりリスクをとりたくない考えも分かりますが、リスクを恐れすぎて利回りが少なすぎて全然増えないのも問題です。
例えば年利0.5%とかで毎年運用できたとしても、手数料が年間1%かかり続けると「赤字」ですよね。
税金面では、つみたてNISAの場合、一般NISAより長いとはいえ、非課税優遇期間も最長20年までの縛りがあります。
もちろん、20年後に絶対に売却しないといけない決まりはないので、課税される一般口座に移動してからも保有し続けて、任意のタイミングで売却とかすることもできます。
ただし、状況によっては「損する形で課税される」可能性もあるのも事実。
20年は長いようで短いです。この間優遇されるのは確かに大きいですが、その後のことを考えると、税金面を考えすぎるのも問題かなと思います。
投資手法を選ぶ時に大切な考え方
私は投資信託を使って長期運用する場合、複利を最大限活用するため、できる限り長期で、運用期間中も小回りが効くもの(取り崩し、一時停止、再開、増額、減額など)がいいと考えています。
今回紹介した内容以外に、実は大きな理由がありますが、自分の考えと、iDeCo、NISAは現時点でマッチしないと考えています。
あくまで個人の見解で、何が正しい、間違っているとかありません。
ただ、どのような投資に取り組む場合でも、概要や詳細はもちろん、メリットデメリット、リスクの部分は必ず確認する必要があります。
それらを全く確認しないまま
- みんなもやっているから
- みんなやっていないから
- 雑誌や本でおすすめされていたから
- テレビで紹介されて話題になっていたから
- 芸能人やインフルエンサーが推していたから
といった理由で
これをやれば絶対に安心と盲目的に判断するのは危険です。
特に投資信託は買い切りではなく、20年、30年といった長期間、毎月5万円などをコツコツ積み立てていくものです。
目的や土台がない状態で、いろんな案件に手を出し、手数料や短期的な利回りなど表面的な部分で判断、一喜一憂するのは本末転倒です。
まとめ
メディアの情報をみると、まるで「iDeCoやNISAをやっていないと損するのか」と思ってしまいがちですが、必ずしもそうではありません。
冒頭でも申し上げた通り、iDeCoやNISAの制度や仕組みを否定するつもりは全くありません。元手資金や運用益が一定期間非課税になるのは大きいです。
ただし、だからといって全員にメリットがあるとは限りません。
資金状況、家族構成、考え方などは十人十色だからです。
NISAのデメリットの部分で説明したように税金を意識しすぎるあまり税金に縛られる可能性もあります。
これをやればデメリットなく単純に得をする、絶対に儲かるものは世の中にありません。
何をやるにしても総合的に考えて判断していきたいと思います。