先日のミスターサンデーなど最近もテレビ番組で投資やFIREの特集が放送されることが増えましたが、これらの内容を鵜呑みにして投資を始めると、お金が増えるどころか減る、搾取される可能性もあります。テレビでは放送されないけど知らないと損することとは?
FIRE特集で放送された内容
2021年2月28日のミスターサンデーで「FIRE特集」が放送されたみたいですね。
自分自身は普段全くテレビを見ないのでリアルタイムではありませんが、Twitterで話題になっていたこともあり、YouTubeで内容を確認しました。
20分くらいの尺で、FIREとは何か、FIREの事例などが紹介されていました。
簡単にメモしたものをお伝えすると・・・
(FIREとは)
新しい生き方
「FIRE」を知っていますか?
早期退職で悠々自適
資産形成始める若者たち
日経平均株価が
30年ぶりに一時
3万円台を回復
実体経済と金融経済の乖離
本屋さんでも投資関係の本の売れ行きが好調
FIREとは
Financial
Independence
Retire
Early
これらの略語
投資による経済的独立による早期退職で自分を解放する生き方
資産形成はお金持ちの特権ではない
(主な事例)
- 「まるみチャンネル」運営のご夫妻
- 三菱サラリーマンで有名な穂高唯希さん
おもに上記2つの事例をもとに、どうやってFIREを目指しているのか、達成したのかを紹介したうえで、最後にコメンテーターが意見を述べるといった流れでした。
二極化する
ミスターサンデーのFIRE特集のように、テレビで投資系の特集が放送されると、興味を持って実際に資産運用を始める人は増えます。
ただ、その一方で、今後さらに「二極化」すると思います。
- 資産形成に興味を持って勉強や実践を始める人
- どうせ無理、怪しい、難しいと叩くだけで何もしない人
そして、せっかく勇気を出して資産運用の勉強や実践を始めたとしても、そこからさらに二極化します。
- きちんと目的設定をしてから、その目的に沿った形で、具体的に投資信託などの手段を考えていく人
- 特に深く考えず、ただ儲かりそうといった理由だけで悪質な詐欺師や高リスクの暗号資産案件等に、資産の大半を投げてしまう人
テレビなどのメディアでは放送されないけど大切なこと
テレビをみて興味を持ち、お金の勉強を始めるケースは多いですが、表面的な内容だけ見てしまって、本質を見抜けないと、ただ搾取されるだけの逆効果になってしまいかねない。
一体どういうことなのか。
表面的な内容だけ見てしまい、勘違いをすると起こりうる「悲劇」とは?
例えば、こんな感じです。
- 最近話題になっているビットコインなどの暗号資産に預貯金の多くを入れる→ビットコインの価格が急落して資金を溶かす
- ネット上によくある「寝てるだけで〜、スマホをポチるだけで、1日5分検索するだけで〜」といった甘い言葉に誘惑されて、怪しい情報商材やツールに騙される
- 年金破綻などを道具に将来不安を過剰に煽るインフルエンサー、怪しいマンション投資などの営業電話やセミナーの餌食になる
このような被害にあってしまう事例は多いし、テレビで投資の話題が特集されて興味を持つ人が増えるほど、ますます詐欺被害者も増えていくと思われます。
何が問題なのか。
資産形成の重要性が説明されて、いざ投資をしていきましょうとなった段階で、いきなり不動産投資で儲けるといった話に飛躍してしまうところです。
- 手取りの40〜60%を投資に回す
- つみたてNISAやiDeCoをフル活用
- 不動産投資でマンション2件保有しています
といった事例だけみて、「じゃあ自分も、つみたてNISAやiDeCoやればOKやな」と思い込むパターンがかなり多い。
いきなり手段の話になってしまうわけです。
本来ならば
- そもそもなぜ資産形成をするのか
- 預貯金などの資産、収入や支出の現状整理
- いつまでに、どのくらいの資産が必要なのか
- どのくらいのリスクをとれるのか
といった目的設定を先にしっかり固める必要があります。
そのうえで、設定した目的を達成するために必要な手段を検討して選んでいく段階に進んでいきます。
例えば投資信託ひとつとっても、国内と海外で概要や仕組みも全然違うし、もちろん各商品の中身も違ってきます。
テレビで個別株や不動産投資で成功している事例をみて、じゃあ自分も個別株や不動産投資をやれば儲かるのかといった単純な話ではありません。
そこを昔の自分もそうでしたが、ほとんどの人は勘違いしてしまう。
そして人は楽をしたい生き物なので、簡単に稼げる話を無意識に探し求めがちです。
ネット上の甘い言葉に釣られて、今まで一生懸命働いて稼いだお金を、よく分からないネットワークビジネスの案件とかに突っ込んで、気づいたらお金が消えていた。
このような事例は山ほど見てきました。
学ぶ機会や場所がない
お金の話になると、どうしても手段の部分ばかり注目しがちですが、目的の部分をすっ飛ばしてしまうと意味がありません。
例えばあなたが「マイホーム」を建てる時、土地が液状化していて、建物の基礎工事もしっかりしていない状態で、家を建てても意味がないですよね。
まずは土地や建物の基礎がしっかりしているか確認して、問題があればまずはしっかり工事をしたうえで、壁や内装といった「はこ」を積み上げていく必要があります。
テレビの投資特集をみて、お金を増やしたいと興味を持ち、いきなり不動産投資すれば儲かる?今からビットコイン買ったら儲かる?と考えるのは、
土地や建物の基礎部分を無視して、壁やカーテンの色どうしようかな、リビングに置くソファは何にする?と考えているようなもの。
ただ、これはあなたが悪いわけではありません。
そもそも、日本にはお金の考え方を学ぶ機会や場所が全くありません。
本来は義務教育の段階から少しずつ、お金の仕組みや投資の基本とかを学べたらいいですが、残念ながらほとんどないのが現状です。
学ぶ機会がほとんどなかったため、いざ資産形成の重要性を説明されたとしても、お金のこと何とかしないといけないと漠然とした不安や危機感を抱えていたとしても、何からどう始めたらいいか分からない。
分からないし、難しいし、面倒くさいから、とりあえず定期預金しておくか、将来不安だから、保険でも入っておくか・・みんな(周り)もそうしているから・・・となるわけです。
このような状況に疑問を感じ、自分自身、世の中にセールスありきが多い中で、日本人に最も必要なものは適正な金融教育という信念のもと、セミナー(勉強会)も開催しながら、金融リテラシーを高めるための情報を発信しています。
他人事から自分事へ
テレビ番組に限らず、投資特集が話題になると、必ず叩く人は出てきます。
- 自分はそんなに給料高くない
- もともと貯金が多かっただけ
- 結局は恵まれている人の特権
- 大手企業勤務だからできる
といった感じ。
叩くだけなら簡単で誰でもできますが、これからは他人のことを叩いている場合ではないし、自分で気づいて対策していかないと、国も企業も、自分たちの生活や老後の面倒はみてくれません。
煽るわけではありませんが、他人事でも対岸の火事でもなく、自分事として捉えていかないと本当にやばくなると自分自身は考えています。
投資特集に対するテレビのコメンテーターの方々の発言を聞いていると、どこか他人事のように感じます。
資産形成の話を40代や50代以上の、人生の先輩方に話す機会もありますが、「我々の時代では考えたこともなかった」と言われることもあります。
これは嫌われる覚悟で言うと、例えば高度経済成長期は、極論、お金の勉強をしなくても、考えなくても、預貯金しておけば、自動的に資産形成ができていたからです。
当時、ゆうちょの金利も平均で年利8%とか回っていました。それが今は0.001%(ほぼゼロ)です。
親世代から「無駄遣いせずにしっかり貯金しなさい」と言われる人も多いと思います。昔はそれで資産形成できていましたが、その常識はもはや通用しない。
そのことにまずはしっかり気づいていく必要があります。
それだけでなく、今後どうなるか誰にも分からない、先行きが全く見えない時代です。
2020年から本格的に始まったコロナ禍の影響で、私たちの生活は一変しました。
2019年の年末には、まさかわずか半年や1年後に
- 外に出たらほぼ全員マスクをしている
- 緊急事態宣言が発令される
- 「新しい生活様式」が提唱される
- テレワーク(在宅勤務)が推奨される
- コロナ禍の影響で解雇される人が増加
- 鉄道や航空など大手企業が大打撃を受けて軒並み赤字
- オンラインでの説明会や会議が浸透してZOOMやTEAMSといったツールを当たり前のように使う
といった状況になるとは予想できませんでした。
それこそ本来なら30年50年単位で変わっていくことが、わずか1年で変化した・・それだけの影響があるといっても過言ではありません。
今後もどうなるか正直全く分かりません。
たとえ解雇されたり給料が減らなかったとしても、いつまで健康で働けるか分かりません。
自分自身は健康でも、全然困っていなくて人生楽しんでいる状態だったとしても、夫や妻、子ども、親といった家族の介護等が必要になって、働けない状況になる可能性もゼロではない。
そのなかで、会社員として働いて給料1本に依存するのは非常にリスクが大きいといえます。
労働収入のみに依存するのではなく、資産による収入(キャッシュフロー)の柱があれば大きいです。様々な選択肢をとれるようにもなります。
「FIREはうらやましいけど、思ったとおりにいかないこともあると考えると自分が実行するのは難しい」
このように考える人も多いですが、実際は逆です。
世の中思ったとおりにいくほうが少ないです。
だからこそ、他人事ではなく自分事として、資産形成の目的設定、勉強や実践をコツコツ始める必要があると考えています。